歯並びの異常・歯列不正とは
歯並びの異常は、外から症状として見えるものですから、歯科医でなくても一目でわかります。一般的な言い方として出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)、八重歯、乱ぐい歯(ともに叢生)などがありますが、私は、そういう表に出た症状では分類しません。原因となる顎関節の機能、顎の動き、歯の接触のしかたなどで診断・分類します。
しかし、ここではみなさんにもわかりやすく、表に出た症状で歯並びの異常(不正歯列)を分類しておきましょう。
「上顎前突」・・・・いわゆる出っ歯で、上の顎の骨や歯が前に突き出たものです。
「下顎前突」・・・・出っ歯とは逆に、下の顎や歯が前に出た状態で、受け口のことです。通常のかみ合わせと反対になる「反対咬合」も、この下顎前突に分類されます。
「叢生」・・・・八重歯や乱ぐい歯のように、歯が傾いたり歯列からはずれてガタガタに生えている状態をいいます。
「開咬」・・・・上下のすべての歯がピッタリ噛み合わず、奥歯があたって前歯などが開いた状態をいいます。
以上がおもな歯並びの異常ですが、ほかにも前歯中央(正面中切歯のあいだ)にすき間ができる「正中離開」や、上の歯が下の歯に深くかぶさる「過蓋咬合(ディ−プバイト)」などがあります。
こうした歯並びの異常には、顎の骨に問題がある「骨格性」のものと、歯だけに異常がある「歯槽性」のものがあります。また、両方の「複合性」のものもあります。強度の骨格性のものは、顎の骨自体がゆがんだりずれたりしているものですから、歯並びだけでは矯正できません。外科手術が必要になり、矯正医と口腔外科の連携で治療が行なわれますが、手術の前後には歯列矯正が必要です。
しかし、骨格性の異常でも、のちほど述べるように奥歯の歯並びが原因のケ−スが多くあり、矯正治療だけで治る例も増えてきています。