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矯正歯科の始祖アングル博士 

先ほどもいったように、矯正歯科の歴史はアメリカに始まりしたが、1903年、エドワ−ド・アングル博士矯正歯学の理論を発表したのがその幕開けでした。そして、興味深いことに、アングル博士の矯正は「歯を抜かない」治療だったのです。

 

その矯正歯科の始祖であるアングル博士が、約100年前に日本の友人の歯科医に送った手紙が残されています。原文はもちろん英語ですが、それを日本語に訳したが学会で発表されました。貴重なものなので、ここでその一部を紹介しておきましょう。挨拶の言葉のあとにこう記されています。

 

「ささやかな努力を傾けた私の著書に対してお寄せになった、貴殿の賞賛のお言葉を伺い、とても嬉しく思います。私が申し上げられるのは、ただ私なりに最善を尽くしたということ、そして非常な苦心の成果であると同時に、すばらしく興味深い科学である歯科矯正学について、長年にわたって細心の注意を払って観察した賜物だということです。次の改訂版では、いかなるジャッキねじの組み合わせも含みませんし、抜歯は非常にまれな症例−おそらく1000症例のうち、3症例以下−を除いてお勧めしないことになるでしょう。すべての歯を持っているべきであるということを神は意図されており、そして我々矯正歯科医はすべての歯を保存することによって、はじめて成功を収めることができるのだ、と私は日に日に確信を深めています。それだけではなく、すべての歯を保存し、かつそれぞれの咬合面を正常で調和した関係に位置づけることによってのみ、顔貌に最高の治療結果を獲得することができるのです」

 

この手紙を初めて読んだとき、私は胸が熱くなる思いでした。矯正で歯を抜く症例はわずか1000分の3、そして「我々歯科医はすべての歯を保存することによって、はじめて成功を収めることができるのだ」「すべての歯を保存し、かつそれぞれの咬合面を正常で調和した関係に位置づけることによってのみ、顔貌に最高の治療結果を獲得することができる」。まさに歯科医としてあるべき理想の言葉でしょう。

 

そして、実際にアングル博士の「非抜歯矯正」理論は、当時のアメリカの歯科医たちの基準にもなり、アングル学派と呼ばれるようになりました。これに対し、スペ−スの足りない症例では、小臼歯を抜くべきと主張したのがC・S・ケ−ス博士でした。1911年には、矯正歯学の世界で有名なできごととして、アングル学派の「非抜歯論」とケ−ス博士の「抜歯論」が論争を展開した「抜歯論争」がおこりました。

 

この論争では「非抜歯論」が優勢でした。ところが、1930年にアングル博士が他界してから、「抜歯論」が急速に広がっていき、やがて「非抜歯論」を駆逐してしまったのです。つまり、歯を抜かずに矯正するというアングル博士の理想はわずか20年間ほどしか続かなかったわけで、そのため、日本に矯正歯学が入ってきたときは、「抜歯」を当然のものとしていたのです。

 

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