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大切な小臼歯の役割 

ヨ−ロッパの一部では口腔学が以前から進んでいましたが、その中でとくに小臼歯の役割に注目して研究した医学者がいます。それがオ−ストリア・ウィ−ン大学補綴学教授スラバチェック博士です。スラバチェック教授は、顎関節の動きを解明する「アキシオグラフ」というコンピュ−タシステムの開発者としても知られており、私は教授のその講習会にも参加しました。それについては次章で触れるとして、ここでは、教授が研究した小臼歯の役割についてお話しましょう。

スラバチェック理論を私なりにまとめると、つぎの6点にしぼることができます。

 

①後方へのストッパ−になり、顎関節を守る

顎は特異なつくりをしています。というのも、上顎は頭蓋骨に固定されていますが、下顎は顎関節と側頭骨でつながっているだけで、どこにも固定されていません。つまり非常に不安定な形をしているその下顎を、一定の位置で安定させているのが歯です。

 

顎の動きを前方でガイドしているのは前歯です。顎はその構造から、機能するとき、前に前に出ようとします。ところが前方には前歯があり、それが壁になって一定のところで止まります。サイドには犬歯、小臼歯、大臼歯に連なる壁があり、必要以上に横に動くことはありません。しかし後方には、さえぎるものが何もないのです。

 

顎が一定以上に後方に下がると、顎関節のうしろにある神経や血管の束が圧迫されます。この神経や血管の束というのは、脳に通じる大事な経路です。そこが圧迫されれば、さまざまな障害が出てくる恐れ臥あります。 その後方へのストッパ−の役割を果たしているのが、実は第一小臼歯なのです。

 

ものを噛んだあと、下顎はわずかにうしろにずれます。そのとき唯一かみ合うのが小臼歯で、かみ合うことによってそれ以上下顎がうしろにずれるのをくい止めているのです。これによって顎関節の機能は守られ、うしろの神経や血管の束も保護されることになります。

 

②かみ合わせの基準点になり、下顎を安定させる

第一小臼歯がみ合うことによって、のようにストッパ−の役目を果たしますが、同時にそのときのかみ合わせが全体のかみ合わせの基準点にもなり、下顎を安定させます。この基準点がなくなると、下顎の位置は不安定になり、顎関節がずれたり炎症をおこしたりすることになります。

 

③歯と顎関節の動きのバランスをとる

上顎の前歯の裏面は、へこんだ型のきれいなカ−ブを描いています。このカ−ブと顎関節の動きのカ−ブは相関しており、歯と顎関節が連動して動くようになっています、つまり連動して動くことで、顎関節をコントロ−ルしているのです。

 

上顎は、第一小臼歯があるからきれいなカ−ブをつくり、正しい歯列を維持しています。ですから小臼歯を抜いてしまうとこのカ−ブが崩れ、顎関節や周辺の筋肉の負担が大きくなってきます。これも顎関節を痛める原因にんるのです。

 

④「正しい歯ぎしり」に欠かせない

いま述べたように第一小臼歯は、顎がうしろに下がるのをくい止めるストッパ−の役目をします。この働きは、歯ぎりしをするときにも重要な役目を果たします。

 

無意識でする歯ぎしりは、自分でコントロ−ルできません。しかし、第一小臼歯があれば、一定のところで顎の動きが止まり、不必要にうしろに下がりません。それによって正しい歯ぎしりができるようになり、上手なストレス解消法になるのです。

 

もし第一小臼歯を抜いてしまったら、顎ががうしろに落ち込み、寝ながら苦しい思いをしなければいけません。また顎関節にも悪い影響を与え、ずれを起こす原因になります。歯を抜くことでかみ合わせも悪くなり、スム−ズな歯ぎしりができなくなります。

 

一般に、歯ぎしりはイビキと同じように悪いものと考えられがちですが、そうではありません。私たちは恐い思いをしたり強い緊張があると、ぐっと歯を食いしばったり全身に力を込めます。そうやって筋肉を収縮させることで、精神的なストレスを解消させているのです。脳も同じで、脳に強いストレスがかかると、その周辺にある筋肉(側頭筋や咬筋)を緊張させることでストレスを解消するのです。その筋肉の解消が、歯ぎしりになって現れるわけです。

 

歯ぎしりがきちんと行なわれていれば、脳もすっきりして、勉強や仕事に集中でき、精神状態も穏やかに保てます。ところが歯ぎしりがうまくできなくて脳のストレスが解消されないと、イライラしたり集中力がなくなり、キレるという状況が生まれてくるのです。

 

このように、歯ぎしりは脳のストレス解消に必要なものです。ただし、よい歯ぎしりをしなければいけません。それにはストッパ−としての第一小臼歯の存在と、よりよいかみ合わせが不可欠なのです。

 

⑤広い咬合面を維持する

安定したかみ合わせを得るには、大きなア−チの咬合平面(歯がかみ合う面)が必要です。大きなア−チの咬合平面は、前歯からつづく小臼歯、大臼歯が欠けることなくそろっていることです。ところが小臼歯を抜くと、咬合平面が小さなア−チになり、かむ機能が低下してしまいます。しかもこれを上下で4本も抜くと、残りの歯にかかる負担が大きくなり、微細な破壊から、虫歯や歯周病の原因になります。また歯全体のバランスも崩れ、噛む機能が大幅に低下することになります。

 

⑥顔貌が変わる

何度もいうように、人は32本の歯(親知らずを除けば28本)があることで広い口腔を保ち、あるべき歯列のカ−ブを描いています。ところが第一小臼歯を抜くと、前歯が内側に入り込み、口元がフラットになってしまいます。こういう顔つきは日本人になじみにくく、違和感を覚えることがあります。さらに、10年、20年、30年とたつうち、もっと鼻翼の部分がおちこんだ顔つきになります。

 

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